3月16日、日暮里サニーホールコンサートサロンでのリサイタルが無事終了しました。
東京国際芸術協会のブログにも、記事が載っています。
この日に向けて、何か月もの間準備をしてきましたので、達成感があります。
今回は歌いなれてきたスペインのサルスエラと、ハムレットを題材にした作品をベルリオーズ、シュトラウス、トマの作曲で構成しました。
ハムレットを題材にした作品は、どれもヒロインのオフェーリアの立場として描写されたものです。
ハムレットは、父王を殺害された敵を討つために狂乱を演じますが、恋人であるオフェーリアは、非情なハムレットの態度や、父親が殺されてしまうショックから、どんどん正気を失っていく。
ベルリオーズの「オフェーリアの死」は、彼女の死に至るまでの経過を使者が口上するスタイル。
ゆるやかで温かみのあるメロディー、どこかうつろなヴォカリーズ、希望があるようで全くない、というとりとめのなさが、なんとも美しく、気に入ったので歌ってみたいと今回取り入れました。
シュトラウスの短い3曲から成る「オフェーリアの歌」は、まさに狂ったオフェーリアの独壇場。もはや詩に脈絡なんてない。意味の分からない独白ながら、なんとも音楽はおもしろいのである。練習していると頭がおかしくなってしまいそうになりながら取り組みました。
トマのオペラ「ハムレット」のオフェーリア狂乱の場のアリア。よくコロラトゥーラの人が歌っているイメージがあったが、私の声域でも歌えることがわかり、取り組んでみました。
かねてからオペラの役は幅を広げたいと思っていたところでの挑戦。このオフェーリアは痛々しくもけなげで、”あなたのために死ぬの!”と言いながらもさながら天井に向かっていくパワーを感じる。
技術的な話でいうと、この曲にアジャストするためにメインで響く音域を少し上に(3度ぐらい)上げて(というか自ずと上がって)いたので、普段問題なくロングトーンできる5線より下の音域が薄くなってしまい、びっくりしました。
そう考えると、私の声域からしては少し無理をしていたのかなと思いつつ、それも少しずつ広げていく意義はあるのかなとも思いつつ、難しいところだなと思いました。
やはりデリケートな部分ですね。まあ、ドラマティカルなものを歌うよりはこういったものを歌った方が、私には合っていると思いますが。
しばらくは元の域に戻せるよう、トマのオフェーリアはお休みです。
コンサート全体は、協会の方の運営進行のおかげで、演奏に集中することが出来ました。
また次回、意欲的なプログラムで帰ってきたいと思います。