7月6日のコンサートを終えてから、8月4日まで愛知の実家で過ごしていました。
実は7月2日に青森に移動する際に、東京の住まいを引き払っていました。
東京では2016年の8月から暮らしてきました。
何もないところから少しずつ始め、仕事も、歌う場所もできて充実した生活でした。
音楽活動を続けいていくうちに、自分が本当に取り組んでいきたい音楽と世間に求められているものをズレを感じたり。
得意なものばかりに偏って、ずっと同じレパートリーを演奏して、お客さんは嬉しそうで、でもそれって慢心じゃないか?と葛藤したり。
私はあれもやりたい、これもやりたいけど、集客集客・・・
今までたくさんの機会をいただいてコンサートの場に立ってきたけど、
中にはお客さんがすごく少なかった時もありました。
そんな時、もちろん私はベストのパフォーマンスに集中するわけだけど、
お客さんあってのコンサートなのに残念だな。
私にそれだけ魅力がないせいなのかな、と悩んだり。
藤原歌劇団に所属してはいるものの、この大勢の中からピックアップしてもらえるのは大変なことだし、かといって食い下がっていく気力も持てず、
私が一番自由でいられるのは、そういったしがらみが全くない場所で
好きな音楽仲間と挑戦的なプログラムを作り上げていく時。
ハイライトとしては、去年の5月名古屋の宗次ホールで行ったドイツ歌曲メインのコンサート。
その後にはオーストリア大使館でもそのプログラムの引用とプラスアルファで演奏しました。
お客さんが本当に私の演奏を楽しんでくれている実感がありました。
10月の東京でのリサイタル。自分で会場確保、宣伝などをし、小さな会場がいっぱいになりました。
挑戦してみたかったプログラム、自分のキャパギリギリもしくはちょっと超えていたので、もがき苦しみながらもやり遂げた達成感。
そして7月の青森でのコンサート。
こだわりにこだわった、私という歌手を紹介するにふさわしいお客さんに寄り添う、なおかつプロフェッショナルなプログラム。
これだけ喜んでもらえて、自分も幸せだったのは貴重な経験です。
一つ一つ経験を積み、毎月演奏活動をして、いろいろな方に出会うことができた。
3年間、よくやったと言っていいんじゃないでしょうか。
そんな中、自分が学びを深め、新しく生まれ変わることができたヨーロッパの感覚が、どんどん抜けていく気がしてもどかしさを感じていました。
東京で忙しく過ごしながら、自分がどんどんすり減っていくような気がして。
ひとところに留まっていられない気質で、腰を落ち着けてしまうのも怖くて。
ちょうど前職は産休代理だったので、その任期が終わったらヨーロッパに戻ろうかと思っていました。
どのように?というのが一番難しいところで、また学生に戻るのも嫌だ。
オーディションを受けると言ってもすぐに受かるとか何かを得られるわけではない。
ベースが必要だ。収入も滞在許可も必要だ。
そう考えたとき、まずは会社に入ろうと目的を定めました。
様々な企業にメールで履歴書を送ったり、在日在独両方の商工会議所に紹介を頼んだり、職場の繋がりを利用して人を紹介してもらったり。
その間に面接に行ったり、それで繋がらないたびに落ち込んで。
そんな中、求人をしている会社のマネージャーさんと一緒に仕事をすることがありました。
最初は、結構大変な仕事なので女性には向かないかも?と言われましたが
とにかくなんでもいいです。私はフレキシブルです、と伝えて
私はできればオーストリアで働きたいんです
と伝えました。
そうしたら、オーストリアの本社に掛け合ってくれて、オーストリアベースで、一年の数ヶ月は日本で働くということでdealとなりました。
4月にプライベートでオーストリアにいくことにしていたので、そこで早速本社へ顔を見せ、条件などについて話し合い、契約書を締結し、
5月に帰国してから労働許可と滞在許可に必要な書類を集めに回り、大使館で申請。
6月は青森でのコンサートの準備、家を引き払う準備、ハローワーク行ったり、人と会ったりでバタバタ。
7月はコンサート、実家に帰ってからはほとんど世間と接触もせず穏やかに過ごしていました。
8月4日にやっと出国、そしてオーストリアのインスブルックに住み始めました。
地理的にはオーストリアにありながらドイツ、イタリアと近く、首都のウィーンまでは500kmほども離れています。東京から京都ぐらいの距離かな。
5月に大使館で申請した許可の申請に全く動きがなかったので、直接労働局に行ったり
まだすぐに働き始められないという苛立ちともどかしさがあるけど、新しく人と会ったり、なんとか新しい環境に順応しようとしている期間です。
ここでの方言もなかなか難しく、今まで住んできた地域とは全く違うので新しく覚えることがいっぱいです。
まず目標は、9月から会社で働き始められること、それから徐々にこの地で音楽家を探して、音楽活動できる場所を見つけることです。
12月から4月までは日本で仕事をする予定で、その間は東北と東京でコンサートができればいいなと考えています。
山登りしたり、自転車乗ったり、湖で泳いだり、アクティブさが正義とされるチロルで生き延びられるよう、なんでも挑戦しています。
東京暮らしの時に重宝していた(ジモティで売ってしまった)ヨガマットも導入し、部屋でピラティスしたり。
仕事が始まるまでの緩やかな日常を過ごしています。
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